ラフティングの安全について

ラフティングは安全ですか?

ラフティングは安全です。
しかし自然相手のスポーツのため100%安全と言いきる事はできません。 より100%に近づけるため、ビックスマイルでは、安全なツアーを行えるよう日々、改善改良を加えています。

ビックスマイルの安全性

ビックスマイルの高い安全性は、3つの要素から成り立っています。

高い水難救助技術

高い水難救助技術
ビックスマイル代表は世界的水難救助の権威であるレスキュー3社のインストラクターであり、 またアリゾナボーテックス(レスキューフレーム)で著名なReed氏より直接学んだロープレスキュー技術を、 日本の消防士を中心に警察・自衛隊・ラフティングガイドなど、延べ4000人以上のレスキュアーに救助技術を教えています。
信頼されている講習のため、多くの参加者は、日本政府や地方公共団体などから公費(税金)で参加されます。
その高い救助技術は、ビックスマイルのラフティングガイドに教え込まれ、事故防止活動はもとより、万が一の救助活動の際に大きく活躍できるよう教育されています。

救助講習会
レスキュー3社

20年以上のラフティング経験

20年以上のラフティング経験
ビックスマイルは1999年の創業より、日本一の激流吉野川など、第一線の河川でラフティングを運営しています。
長年培った安全技術と経験をもって、安定的なツアー運営を実現しています。
お客様のニーズにお応えしつつ、安全面においてはニーズだけでなく、本当に「お客様のためになる対応」を心がけています。

スタッフ教育

スタッフ教育
既述の救助技術はもちろんの事、ホスピタリティや操船技術、ビジネススキルもしっかりと教育しています。
ラフティング業界は1本いくらというアルバイトガイドが多い中、ビックスマイルでは多くの正社員を通年雇用し、高い水準レベルを維持しています。
また、期間スタッフも月給雇用する事により、教育の時間を確保し、よりよい安全とサービスを目指しています。

安全に対する具体的な取り組み

ビックスマイルでは、より安全なラフティングのため、下記に取り組んでいます。

ラフティングスタッフの教育

ラフティングスタッフの教育
ラフティングスタッフの教育は、安全・サービス・スタッフとしてのあり方を中心に長期間にわたって行われます。
特に安全に対する教育には力を入れております。
操船技術は当然の事、事故を起こさないための考え方から、ラフティングのレスキュー技術に渡るまで多岐にわたります。
レスキュー技術の一部について、ページ下部にてご紹介おります。

ラフティングの安全装備

ラフティングの安全装備
ラフティングの安全装備として、ライフジャケット・ヘルメットを用意しております。
特にライフジャケットは重要で、着用していれば川の水難事故の多くは防げたとも言われるほどです。
各種サイズのライフジャケットを用意しておりますのでご安心ください。
また、ヘルメット以外にも、季節に合わせたウェアも用意しております。

ラフティングの安全説明

ラフティングの安全説明
お客様に川のリスクについて理解していただく事は、重要な安全対策の一つとなります。
ラフティング前に書面(参加承諾書)を使った説明、 川のリスクについて口頭で説明する安全説明(いわゆるセーフティトーク)、 各ボートに分かれた後の安全姿勢の取り方など、 安全に対する説明をしっかりとさせていただいております。

ラフティングの安全基準

ラフティングの安全基準
水位基準を中心に、ラフティングの安全基準を定めています。
増水時は事故が起こる可能性が上がるだけでなく、万が一の事故時のリスクが甚大なものになりがちです。
そのため、各河川ごとの水位基準に厳しい値を設定しています。

ラフティング事故の原因

安全を説明するために、海外の事故例を参考に事故の原因についてを記載します。
ラフティングの事故の原因は、川の構造、自然環境、人為的理由など複数の要件が重なり発生します。
急流での水難事故は、いろいろなシチュエーションで発生するため、一意的に表現する事は難しいですが、いくつかの原因を紹介いたします。

川の構造による原因

ストレーナー

ストレーナー
川に倒れ込んだ流木などで水は通るが人は通さない状態になっている場所で、日本語で言えば漉し器(茶漉しなどの漉し器)を指します。
ストレーナーに体が捕捉されると、自力で脱出する事が困難となります。
弊社スタッフも、ストレーナースイムというストレーナーに捕捉されないスイム方法(捕捉された際の脱出の難度も体験する)を練習します。

フットエントラップメント

フットエントラップメント
水流の中で立ち上がった際などに川底の岩に足が挟まり、背中に水圧を受けて沈んでしまう事故です。
 ラフティングのレスキューに於いて、特に水中で呼吸ができない状態となる事は、時間的にとてもシビアで難しい救助となります。そのため、重要な点は事故を起こさない事です。
「流れの中で落水したら、足を上げて流される」は、セーフティトークでお客様に説明する重要項目の一つとなっています。

アンダーカットロック

アンダーカットロック
下部がえぐれた岩をラフティングの世界ではアンダーカットロックと呼びます。
流れがあたった際にその水が岩で跳ね返らずに、岩の下部側(川底側)に流れます。
多くの場合、下部には倒木などが詰まっていたりします。
流された人がアンダーカットロックの下部に吸い込まれると、倒木などに捕捉されたり、岩に張り付いたりして水面下で脱出ができなくなる事が多いです。
 アンダーカットロックのレスキューは最も困難な救助活動となることが予想されます。そのため、近寄らないのが鉄則です。
吉野川も中歩危地域(国境の瀬の下流2kmほど左岸)に、水圧を受ける大きなアンダーカットロックがあり、近寄らないように迂回してツアー運営をしています。

キーパーホール

キーパーホール
ホールとは、川底に落差がある場合にできる落ち込む流れの部分です。
弱いホールであれば、ボートコントロールに利用でき、中程度のホールであれば、ラフティングでサーフィンなども楽しめます。
ただし、強いホール、特に抜け出しにくいホール(キーパーホール)はリスクが高いです。
キーパーホールの見分け方は、落ち込み部分の水流の強さ、落ち込みからボイル(深く潜った水流が再び水面へ浮上する場所)ラインまでの距離、ホールの形状などから予測はできます。(予測に相当量の経験は必要です。)
 形状で言えば、スマイリーホールやブラウニーホールなどと呼ばれるものもあります。

堰堤

堰堤
人工的に作られた堰堤は、水力学的にはホールと同じ形状になります。 ただし、均一に作られている形状のため水の抜け道がなく、さらに同方向へのバックウォッシュ(逆の波)が発生し、大きな力となります。
そのため、自然にできたホールと異なり、万が一、人が捕捉されてしまった場合の脱出困難度はかなり高くなってしまいます。

自然環境による原因

増水

増水
程度にもよりますが、基本的に増水すればするほどリスクは高まります。
流速が早まる事で操船コントロールや落水者回収の難易度が上がり、また安定した通常水位とは違う流れが発生したりします。
 流速が2倍になれば4倍、3倍になれば9倍と言ったように、水圧は流速の二乗倍の力が加わり救助活動の難易度は上がります。
  そのため、増水時は、安全策を取りながらツアー運営をします。

暴風

暴風
暴風による飛散物のリスクだけでなく、ラフティングボートのコントロールが難しくなり、事故につながるリスクはあります。
本当に強い暴風の場合、漕ぐスピードより上流に押し戻される場合なども稀にあります。
暴風警報などが発令されている場合は、ラフティングをしない事が基本となります。

寒さ

寒さ
低体温症を引き起こすリスクがあり事故に繋がる要因となります。そのためラフティングに於いて、季節に合わせたウェアの着用に注意する必要があります。
ビックスマイルでは、季節に合わせてウェットスーツ・パドリングジャケット・ウェットジャケットなどを準備しております。

人為的原因

スキル不足

スキル不足
パワー不足、川読み不足、知識経験不足などいろいろな要素があり事故につながります。
川のグレードに合わせたスキルを身に付ける必要があります。

注意力不足

注意力不足
スキルがあっても、コンディションが悪い場合は、その実力が発揮されずに事故に繋がるリスクがあります。
ラフティングに限らず全ての業種に言える事ではありますが、重要な項目です。

判断力不足

判断力不足
スキル不足や注意力不足に大きく影響される部分ですが、判断力不足も大きな事故へ繋がります。
瞬時に判断する力を身に付けるためには、経験やスキルを向上していくしかありません。

ラフティングのレスキュー内容

ここまで、事故が起こる原因について記載しましたが、万が一の事故に対応すべく、また業界の安全レベルの向上も願い、弊社で行っているラフティングでのレスキュー(水難救助)講習の一部を紹介します。
基本概念の理解から、自然環境の把握、具体的な救助方法例などを簡単に記載しました。

基本概念の理解

アウトドア業界でよく言われる通り、自然相手に100%の安全確保は不可能です。
しかし、その確率を100%に近づけるため、水難救助の考え方の概念を浸透させています。

3S

3S
ラフティングのレスキュー方法は自然環境や状況に応じて柔軟に対応していく必要があるため、「正解」はありません。
その中で成功確率を高める考え方が必要になります。
それが「3S」と呼ばれるものです。
  • Safety(安全に)
  • Speedy(素早く)
  • Simply(簡単な方法で)
ラフティングのレスキュー活動はリスクを伴うため安全に行う必要があります。
人間は呼吸ができないと3分程度で命に関わるため、素早く行う必要があります。
複数人で救助活動をするには、誰でも分かる簡単な仕組みで行う必要があります。

プロアクティブとリアクティブ

プロアクティブとリアクティブ
事故が起きる前のアクションをプロアクティブ、事故が起きた後のアクションをリアクティブと言います。
水難救助は、火災現場よりも救助者のリスクが高く、救助活動の難易度が高いためプロアクティブに重きを置く事が重要です。
プロアクティブの例としては、ガイドのトレーニング、お客様への安全説明、ギアのメンテナンスなどがあります。
リアクティブは、このページに記載しているような具体的な事故に対するアクションです。

救助の優先順位

救助の優先順位
ラフティングでの救助活動の失敗の大きな原因は、二次災害です。
結果としての救助者の生還を実現するためにも、以下の優先順位を持って救助活動をすすめる事がレスキューの基本となります。
  • セルフレスキュー1st(自身の安全確保)
  • チームレスキュー2nd(チームメンバーの安全確保)
  • ビクティムレスキュー3rd(遭難者の安全確保)
お客様を守る意識の強いビックスマイルのスタッフだからこそ、このレスキューの基本の優先順位を常時意識させています。

関連資料: 横浜市 資料

ハインリッヒの法則

ハインリッヒの法則
大事故の1件の前には29件のアクシデント(事故)があり、その前には300件のインシデント(ヒヤリハット)があると言われています。
逆に言えば、300件のインシデントを減らす事ができれば、1件の大事故の可能性を減らす事ができるというものです。
ビックスマイルでは、ヒヤリハットを各河川で減らしていくのみならず、日本全国で行っているラフティングツアーのトリップレポートをデータベース化し、 また、ツアーの翌朝には正社員全員に共有できる仕組みを作り上げる事で安全に努めています。

詳しくは、 厚生労働省 ハインリッヒの法則

訓練・練習・経験・判断

訓練練習経験判断
 ラフティングのレスキュー活動は1回講習を受けた(訓練)程度では足りず、練習を繰り返し、救助の経験を経て、判断ができるようになるというものです。
ビックスマイルでも講習だけでなく、川原でスローバック(救助用ロープ)を投げたりなど随時トレーニングをしております。

水位の把握

水位計の把握

寒さ
当日のラフティングが安全にできるかどうかの判断はインターネットの水位計のチェックから始まります。
吉野川小歩危セクションで言えば、10km以上上流にある大豊(豊永)の水位計と、3km程度上流の下名の水位計を確認します。
これで、ラフティングスタート時やラフティング中の水位は、だいたい予想できます。
雨天の日などは、上流の早明浦ダムの放流量と下流の池田ダムの流入量も把握します。別途早明浦ダムは今後の発電放流予定量を自動音声で確認できるので確認します。 あわせて、早明浦ダムの貯水量(ある基準で洪水放流量が変わるため)の把握も必要です。
特に、中止や振替の判断が必要になる場合であれば、吉野川上流の本山の水位、大きな支流である穴内川と南小川の水位。 別途、下流(池田ダムよりは上流)にある祖谷口の水位も確認します。また、目視によって水位を確認します。
このように、各河川水位に関する判断は、多くの情報収集によってより正確な情報となるように心がけています。

ただし、あくまで水位だけでは、支流からの流れ込み量や半日・1日後などの水位予想ができないため、次の雨量も把握します。
国土交通省 川の防災情報

雨量と天気予報の把握

雨量と天気予報の把握
上流域の雨量確認は、最終的な水位予想のためには非常に重要な要素となります。
雨量予報には、気象庁など公的期間の予報を利用します。
Yahoo、ウェザーニュース、日本気象協会など複数の天気予報メディアによる実際の雨量情報(合わせて暴風情報)の収集もします。
短時間で正確さの高い予報や、長時間予想されるが正確さは下がる予報などがあります。
また、台風進路は、最も警戒する情報の一つです。
ちなみに、一概には言えませんが、大枠として台風の東側の雨量が大きくなります。
上流域にどのくらいの雨が降れば、どのくらい水位が上がるかの判断は、経験が必要です。

気象庁 降水短時間予報

基本のスキル

アグレッシブスイムとディフェンシブスイム

アグレッシブスイムとディフェンシブスイム
スイムはレスキューの最も基本となるスキルです。
川の流れの向きをカレントと呼びます。
フェリーアングルと呼ばれ、カレントに対して45度(激流部分なら10度くらい)で斜め上流に進むことが基本になります。
アグレッシブスイムはクロールのように泳ぐ方法、ディフェンシブスイムはホワイトウォーターフローポジション(ラッコの姿勢)で進みます。

ノット・アンカー・ヒッチ・倍力

ノット・アンカー・ヒッチ・倍力
レスキュー活動においてロープを使う事が多々あります。
ノットとはロープの結び方、アンカーとは支柱にロープをどのように固定するか、
ヒッチとはカラビナなどに対してロープに抵抗をつけたり固定したりする方法です。
倍力システムとは、滑車などを使い3倍や4倍、9倍と引く力を倍増される方法でZ-drugやピグリグなどがあります。
ロープを使ったレスキューは有用な一方、使い方を間違えるとレスキュアーの命に関わる事故も起こりえます。

スローバッキング

スローバッキング
ガイドは落水者等を助けるために、袋に入った20m前後のロープを装着もしくは近くに持っています。
すぐに正確に投げられるように、普段から準備と練習が必要です。
ロープはかならず水に浮く専用のロープであり、基本は伸びるロープ(ダイナミックロープ)です。
遭難者が掴んだ際に、伸びた方がクッションになるためです。
ただ、レスキュー活動での利用なども前提に考えている場合には、スペクトラと呼ばれる水に浮く伸びにくいロープ(スタティックロープ)を使います。

シャローウォーク(浅瀬横断)

シャローウォーク(浅瀬横断)
流れがある場所でも、水位が低ければ歩いて行ける場合もよくあります。
パドルを使って1人で歩く場合や、大人数でスクラムを組んで川を横断する事もできます。

ラインクロッシング

ラインクロッシング
ロープの末端を対岸に運び、川にロープを渡す事をラインクロッシングと言います。
消防などでは、索発射銃なども使えますが、一般のラフティングでは、ボートを使ったり、PDF(ライフジャケット)のクイックリリースベルトにロープをつけて泳いだりします。
ボートにロープをつける位置にはコツがあったりします。また、クイックリリースベルトにロープを付けて泳ぐことは大きなリスクがありますので、講習等でしっかり学ぶ必要があります。

具体的な救助方法例

カウンターパニックとコンタクトレスキュー

カウンターパニックとコンタクトレスキュー
人は溺れた際、はじめは鳥が羽ばたくように手を暴れさせた状態(パニック)、しばらくすると呆然自失の状態(カウンターパニック)となり動かなくなります。
コンタクトレスキューとは、レスキュアーが実際に泳いでビクティム(遭難者)を助けにいく方法です。
ちなみに、PDFのクイックリリースハーネスにロープを括り付けて泳いでレスキューする方法をライフベイトレスキューと言います。
パニックやカウンターパニックを想定した泳いで救助する方法です。

ステーブルラインを用いたベクトルレイライン

ステーブルラインを用いたベクトルレイライン
ステーブルラインとは、ビクティム(遭難者)の呼吸の確保が難しいときに、川にロープを渡し、ビクティムの胸の下に通して呼吸確保させる、そのロープを言います。
 そのステーブルライン自体を使ってレスキューする方法としてベクトルレイライン法というものがあります。
ステーブルラインの片側もしくは両側から、カラビナ付きのロープをかけて滑らせ、ビクティムにそのロープを絡ませます。
そのロープを上流側などに引く事により、フットエントラップメントを外すレスキュー方法です。

2pt ,4pt テザーシステム

2pt ,4pt テザーシステム
ラフティングボートを使ったレスキュー方法です。 ボートの上流側左右に2か所にロープを付けて引くのが2ポイントテザーシステム、下流側に2か所追加するのを4ポイントテザーシステムと呼びます。
エディなど反転流が強い場所では4ptの方が有用です。 スピード優先ならは2ptが有用です。

スナッグライン

スナッグライン
フットエントラップメントなどの際に利用されるレスキュー方法です。
2本のスローバッグを袋側で連結し、その袋に石などの重い物をいれて、大縄跳びの要領で川底に袋部分を沈めて、フットエントラップメントを外します。
経験上、グレード2以上の瀬では、なかなかスローバックが沈まず足にまでかけるのは難しいです。

ロープレスキュー

ロープレスキュー
川の多くの部分は、道路からのアクセスが難しく、場所によっては崖などになっています。
万が一の際は、そういった場所での救助活動となり、運搬が必要になります。
その際に有用になるのが、ロープレスキューの技術です。
担架への縛着から、アドバンスロープシステムなどを使ったビクティム(遭難者)の引き上げ、引き下ろしまで、とても深い内容となります。
興味がある方は、ビックスマイル代表宇山が行う講習にご参加ください。

レスキュージャパン レスキュー講習会